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若紫と犬君(いぬき)について話します。

若紫と犬君
 今回は、若紫と犬君について話していきます。よろしくお願いします。この絵について説明します。このシーンは、紅葉賀(もみじのが)の帖のシーンです。左の女の子が若紫、右の女の子が犬君です。見えませんが、手前に源氏が居ます。この絵は、源氏の視点で描きました。
 まず、粗筋を言っていきます。正月、源氏は、自宅の二条院の西の対に行って、「今日からは、もう大人になりましたか。」と、若紫に声を掛けます。すると、若紫は、「儺追(なやら)いをするといって犬君がこれをこわしましたから、私よくしていますの。」と言います。儺追いとは、大晦日戌の刻(午後8時頃)に行われた宮中年中行事の一つで、大声を挙げ、振り鼓を鳴らして見えない邪鬼を追い払う行事です。犬君は、それに乗じて、若紫の雛遊びの道具を壊してしまった訳です。それに対して、源氏は、「ほんとうにそそっかしい人ですね。すぐ直させてあげますよ。今日は縁起を祝う日ですからね、泣いてはいけませんよ。」と言って、犬君の方を責めます。しかし、若紫の乳母の少納言の君は、「もう今年からは少し大人におなりあそばせよ。十歳(とお)より上の人はお雛様遊びをしてはよくないと世間では申しますのよ。あなた様はもう良人(おっと)がいらっしゃる方なんですから、奥様らしく静かにしていらっしゃらなくてはなりません。髪をお梳(す)きするのもおうるさがりになるようなことではね。」と言って、若紫の方を責めます。粗筋は、ここまでです。
 次に、私が、この話を読んでどう思ったのかを言っていきます。このシーンは、正月なので、おめでたい雰囲気がいいと思います。この話は、犬君が、若紫の雛遊びの道具を壊してしまうので、一見、犬君が悪い様に思えます。実際に、源氏は、「ほんとうにそそっかしい人ですね。」と、犬君を責めています。しかし、少納言の君は、「十歳(とお)より上の人はお雛様遊びをしてはよくないと世間では申しますのよ。」と、若紫を責めています。少納言の君の主張では、若紫が十歳になっても雛遊びを止(や)めない方が悪い事になり、犬君が雛遊びの道具を壊す事は、むしろ正しい行為になります。この話は、若紫と犬君、どっちが正しくて、どっちが悪いかと言う話です。どちらとも取れる訳ですね。そこが面白いと思います。私は、さすがに、犬君の方が、雛遊びの道具を壊してしまったので、悪いと思います。貴方は、どう思いますか。教えていただけたら幸いです。
 似た様な話は、もう一つあります。それは、「若紫」の帖、小柴垣のもとの話です。むしろ、こっちの話の方が有名だと思います。若紫が、まだ北山に居た頃の話です。若紫は、伏籠(ふせご)の中に雀を飼っていたのですが、犬君が、雀を逃がしてしまいます。そこで若紫は、少納言の君に「雀の子を犬君が逃がしてしまいましたの、伏籠の中に置いて逃げないようにしてあったのに。」と言います。少納言の君は、「またいつもの粗相(そそう)やさんがそんなことをしてお嬢様にしかられるのですね、困った人ですね。雀はどちらのほうへ参りました。だいぶ馴れてきてかわゆうございましたのに、外へ出ては山の鳥に見つかってどんな目にあわされますか。」と言って、犬君の方を責めます。しかし、若紫の祖母の尼君は、「あなたはまあいつまでも子供らしくて困った方ね。私の命がもう今日明日かと思われるのに、それは何とも思わないで、雀のほうが惜しいのだね。雀を籠に入れておいたりすることは仏様のお喜びにならないことだと私はいつも言っているのに。」と言って、若紫の方を責めます。
 さっきの話では、少納言の君は、若紫の方を責めていましたが、この話は、逆に犬君の方を責めているのが、面白いと思います。この話も、若紫と犬君、どっちが正しくて、どっちが悪いかと言う話です。どちらとも取れます。私は、若紫の方が、雀を閉じ込めて飼っていたので、悪いと思います。犬君の方が、雀を逃がしてやったので正しいと思います。貴方は、どう思いますか。教えていただけたら幸いです。
 最後に、私が、若紫と犬君について、どう思ったかをまとめます。この話の頃の若紫(後の紫の上)は、特に無邪気で可愛くて、とても魅力的でいいと思います。犬君は、若紫の遊び相手の女童ですが、単に身分の低い女童ではなく、若紫同様に、魅力的だと思います。理由は、今まで話した通り、犬君は、決して一方的な悪者ではないからです。小柴垣のもとの話も、この絵の話も、一見、若紫が可哀想で、犬君が乱暴者の様に思われますが、周りの大人二人の、どっちが正しくて、どっちが悪いかの判断は分かれる訳ですね。この様に、一筋縄では行かない話である所が、面白いと思います。貴方は、どう思いますか。教えていただけたら幸いです。ここまで、読んで下さいまして、ありがとうございました。
出典 与謝野晶子 源氏物語

テーマ : 恋愛小説 - ジャンル : 小説・文学

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